在宅看護に必要な準備リスト|自宅で安心して看護を始めるためのガイド

自宅での療養を選択される方が増え、在宅医療や訪問看護のニーズは年々高まっています。
しかし「在宅看護を始めたいけれど、何を準備すればいいのかわからない」という声も多く聞かれます。

在宅看護は、病院とは違い、医療機器やケア用品、生活動線、緊急時の体制など、事前に整えておくべきポイントが多数あります。

本記事では、在宅看護を始める前に必ず準備しておきたい項目をわかりやすく整理しリストとして紹介します。
退院後や介護開始前のご家族、本人、ケアマネジャー、訪問看護を検討している方に役立つ内容です。


目次

■ 在宅看護に必要な準備は「4つの視点」で考える

在宅看護の準備は、以下4つのカテゴリに分けると整理しやすくなります。

  1. 環境面の準備(部屋・生活動線)
  2. 医療・介護用品の準備
  3. 関係機関・支援サービスの準備
  4. 心の準備・情報整理

それぞれ詳しく解説します。


1. 【環境準備】在宅看護のための住環境づくり

在宅看護では、自宅を“簡易的な療養空間”に整える必要があります。
環境準備が不十分だと、転倒や事故につながる危険もあるため、まずはここから整えましょう。


■ ① ベッド周りの環境整備

在宅看護の中心は「ベッド周り」です。利用者の状態に応じて以下を検討します。

  • 介護用ベッド(電動ベッド推奨)
  • ベッドサイドのスペース確保(看護師が処置しやすい環境)
  • サイドレール(転落防止)
  • マットレス(床ずれ対策用が望ましい)
  • ベッドとトイレの動線を確保

電動ベッドはレンタルでき、介護保険を使えば月数百円〜で利用可能です。


■ ② 室内の安全対策

  • 床の段差解消(つまずき防止)
  • 手すりの設置(廊下・トイレ・浴室)
  • 滑りにくいマットの利用
  • 車椅子が通れる動線を確保
  • 生活動線に物を置かない

「動線を広く・障害物なく」が基本です。


■ ③ 温度・湿度管理

利用者の体調に直結する重要ポイントです。

  • 室温:夏 26℃前後、冬 20〜22℃
  • 加湿器・空気清浄機の利用
  • 換気を定期的に行う

特に高齢者は温度変化に弱く、ヒートショックのリスクもあるため注意が必要です。


2. 【医療・介護用品の準備】必須アイテムの総まとめ

在宅看護でよく使う医療・介護用品をカテゴリごとに整理します。


■ ① 基本的な医療用品

  • 体温計
  • パルスオキシメーター(SpO₂計測)
  • 血圧計
  • 手指消毒液
  • 使い捨て手袋
  • ガーゼ・絆創膏
  • 消毒液(クロルヘキシジンなど)
  • 包帯・テープ

日々の体調管理とトラブル時の初期対応に必須です。


■ ② 処置用品(必要に応じて)

  • 吸引器
  • 在宅酸素
  • 点滴スタンド
  • 経管栄養セット(胃ろう・経鼻)
  • ストーマ用品
  • 褥瘡ケア用品

これらは病院・訪問看護ステーション・ケアマネとの相談で決定します。


■ ③ 生活支援用品

  • ポータブルトイレ
  • シャワーチェア
  • 介護用エプロン
  • 口腔ケア用品
  • 食事用エプロン
  • 誤嚥防止食(とろみ剤など)

日常生活の負担を大きく減らします。


■ ④ 緊急時の備え

  • 緊急連絡先の一覧(病院、訪看、家族)
  • 服薬情報リスト
  • 医療保険証・介護保険証の控え
  • 夜間照明(トイレまでの足元灯)

急変時に「迷わない体制」を作ることが大切です。


3. 【関係機関との連携】在宅看護は“チームで支える”

在宅看護は家族だけで抱える必要はありません。
公的支援・医療・福祉サービスを組み合わせることで、無理のない介護体制が整います。


■ ① 訪問看護ステーションとの契約

訪問看護の役割は以下の通り:

  • 医療処置(点滴・創処置・胃ろう管理など)
  • 体調管理・バイタルチェック
  • 医師への報告
  • 服薬管理
  • 介護者の相談・指導
  • 急変時のサポート

訪問看護は医師の指示書に基づくため、まずは主治医に相談しましょう。


■ ② 主治医との連携

  • 定期診察・在宅医療(訪問診療)
  • 急変時の受診可能な病院の確認
  • 退院前カンファレンスへの参加

在宅看護は医師のサポートが不可欠です。


■ ③ ケアマネジャー(介護支援専門員)

介護保険利用時にはケアマネが中心となってプランを作成します。

  • 福祉用具レンタル
  • 介護サービス調整
  • 住宅改修
  • 家族の負担軽減の提案

困った時に相談できる専門職がいることは大きな安心です。


■ ④ 民間のプライベートナース利用

訪問看護だけでは時間が足りない場合、
マンツーマンでの看護師付き添いサービ(プライベートナース)を併用する家庭が増えています。

  • 病院付き添い
  • 外出支援
  • 見守り
  • 夜間の体調管理
  • 家族のレスパイト(休息サポート)

在宅看護の負担を減らす有効な選択肢です。


4. 【心の準備・情報の整理】

在宅看護は長期になることが多く、家族の心の負担も考える必要があります。


■ ① 家族で役割を話し合う

  • 誰がどの時間帯を担当するか
  • 外出や買い物をどう回すか
  • 緊急時の対応役

曖昧にすると負担が一人に集中します。


■ ② 医療情報の整理

  • 主治医の連絡先
  • 常用薬・アレルギー情報
  • 病名・既往歴
  • ケア内容の記録

ノートやアプリで管理すると訪問看護にも共有しやすいです。


■ ③ 家族自身の体調管理

在宅看護は“介護する側”の健康も重要です。

  • 睡眠を削らない
  • 抱え込まない
  • 休息の時間をつくる
  • 必要なら外部サービスに頼る

「介護する側が倒れないこと」が最優先です。


■ 在宅看護準備チェックリスト

【部屋・環境】

  • 介護ベッド
  • 動線確保
  • 手すり
  • 室温管理
  • 夜間灯
  • 転倒防止マット

【医療・介護用品】

  • 血圧計・体温計
  • パルスオキシメーター
  • 手袋・消毒液
  • ガーゼ・包帯
  • ポータブルトイレ
  • 口腔ケア用品

【支援体制】

  • 訪問看護の手配
  • ケアマネとの相談
  • 医師との連携
  • 緊急連絡先一覧

■ まとめ:準備が整えば、在宅看護は“安心できる選択”になる

在宅看護は、病院とは違い自宅という安心できる環境で過ごせるメリットがあります。
しかしそのためには、事前の準備と周囲の支援体制の整備が欠かせません。

必要な環境を整え、専門職と連携し、家族が無理なく続けられる体制を整えることで、
「自宅で過ごしたい」という本人の希望に寄り添う看護が実現できます。

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